SEAT AND MUSIC 2018 ~NORTHTOWN CHRISTMAS~

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イベントの詳細については、Twitterや公式サイト等に十分レポートされています。
さらに加えてということで・・・
 
もし僕がイベントに参加してなかったとしたら、もうちょっと詳しく知りたいと思っただろう「未公開音源」についてここでは書いてみたいと思います。
 
それらは全てデモ音源であり、
 
「This Song」
「Grow」
「Northtown christmas」
 
の3曲が、会場のスピーカーを通して披露されました。
 
細かい記憶・記録(メモ)違いはあるかもしれませんが、なんとなくでも音源イメージを追体験して頂ければ幸いです。
 
 
 
This Song
 
 イベントの冒頭の冒頭、ゲスト登場の前に横山店長から「今日は未公開音源も披露します。では、さっそく聴いてみましょう!」という突然の発表がありました。会場がそわそわするなか、すぐにその音声が流れ出しました。もともとの音源の音量がそう大きなものではなかっただろうこともあり、いくら会場の大きなスピーカーをもってしても可能な限り耳をたてる必要がありました。
 
    アコギ1本弾き語り。録音したカセットテープの「シーッ」という音と、比較的クリアに聞こえたアコギをかき鳴らす音の・・・その奥のほうで聞こえる「聞いたことがない黒沢さんの声」を会場全員で拾っているような、そんな感覚でした。
 
 最初から最後までアコギ1本で英詞。淡々と弾き語られていきます。This Songをアコースティックで歌い上げるバージョンは、アコースティックライブアルバム(LIVE without electricity)にも収録されていますが、ライブのような抑揚をつけた歌い方ではなく、ただひらすら淡々と歌われていました。このデモが録音されたのはあの当時の声なので、声は高めでした。
 
 この音源を聴いた時のことを思い出すと、「あぁアコースティックバージョンもやっぱり良いな。ギター1本だけでも良いアレンジだな。」という音源の特徴に関する感想よりも、「あぁ黒沢さんの声だ、しっかり聞き取らなきゃ、黒沢さん・・」というような、そんな感情的な気持ちに浸り、3分ほど固唾をのんで聴いていたと思います。その間、会場からは何の物音も話し声も立たずにシーンとしていたので、たぶん皆さんもそんな気持ちだったのではないでしょうか。
 
 その歌詞の詳細は何だったかはわかりません(聞き取れません)でしたが、残っていたメモから、たぶん聞き取れただろう歌詞が1箇所だけあります。
 
  ♪ Tears on/ my pillow〜
  (♪いま /すぐに〜      のサビの出だしのところ)
 
 メモには「テゾンmy pillow」とあり、そこから意味が通る単語を当てはめまてみました。おそらく、サビのすべての箇所でこう歌われていたと記憶しています。何回も登場したフレーズだったからこそ、こうやってメモできていたと思います。この英詞は、おそらく、正式版の歌詞の文言内容自体とはほぼ違うのでしょう。
 
 改めてこの音源を聴いての感想ですが、イベント冒頭での音源披露だったこともあって「制作作業中の黒沢さんの影を必死で追った」という印象が残ったものとなりました。これは音源がThis Songじゃなかったとしても、こういう形で披露されれば同じような印象を持っただろうと思います。
 
 
 
Grow
 
 イベント中、黒沢さんとホリノブヨシさんとの関係性が語られる流れで披露された音源となります。弾き語りの録音ではなく、プリプロです。
 
 「Growのデモを聞きましょう」という紹介があって音源が再生されたものの、最初、これはGrowなのか?何の歌なのかどうかわかりませんでした。それは複雑な音がたくさん重なっていて、歌もメロディも捉えにくかったからです。数秒かして耳が「聴き慣れたGrow」を探し当てた時、歌声そのものは正式音源と同じだなということがようやくわかりました。そしてその歌声のまわりを色々な音が流れていました。
 
 この音源の印象のひとつとして、僕のメモには「ギャラクシー」と書いてありました。(僕に音楽的な語彙があれば、もっとピッタリな単語が言えるのかもしれません。。)
 
 正確には覚えてないですか、その時感じたイメージからそう遠くはないだろう音を探してみました。 
 
 https://youtu.be/rUH9pdY5gQw 
 (特に3'30"あたり)
 
 「え?こんなイメージ?」と思うかもしれませんが、実際聴いた時はまさにそんな印象をもちました。知っているGrowとは全然違うし、黒沢さんの曲でこのような曲は多分ないですよね。(Winds Blowがちょっと近いかもしれませんが、あれもデモ音源そのままなんですよね。デモだとこのような感じになるのでしょうか。)
 
 このような音にもっとジャラジャラ ギラギラした音がいくつも重なっていたはずです。正式版のピアノの音は一切なく、打ち込みのドラムが淡々とリズムを刻むなか、ギラギラ、ジャラジャラ、シャリシャリ・・何種類もの音が重なっていて、その中であのGrowの歌声が重なっていました。なお、このデモは1番だけを聴けました。
 
 イベント中のどなたかのコメントで、当時黒沢さんがデモをつくった時の話から、「思考錯誤していて、ぐちゃぐちゃしてしまった」というような話を黒沢さんがしていたというエピソードがありましたが、確かにそう感じるデモ音源かもしれないです。
 
 
 この「Grow」については、曲に関するエピソードを知れたことで、より深みを増しました。登壇された方々の記憶・感想、CASTインタビュー時の黒沢さんコメント、今回のイベントにむけたホリさんからの手紙 等  様々な時系列のなかで知られた「Grow」にまつわるエピソード達を以下にまとめてみました。ぜひ、「Grow」を聴きながらご覧ください。より当時の黒沢さんの想いに寄り添った聴き方ができると思います。
 
 
 「Grow」は、別れの歌。別れることは、それは何かのはじまりでもある。そんな気持ちがこめられた曲。これは一体誰に向けた歌だったのか?
 
 ホリさんは、古くからの親友であり、誰から見ても「本当に仲の良い二人」だった。L⇔Rポニーキャニオンに移籍してからはその忙しさから会える機会が減り、再び会えるようになったのは黒沢さんのソロ活動後だった。
 ホリさんが家庭の事情で故郷に帰ることになった時、黒沢さんには何度も引き止めたそうで、「また一緒に音楽はできる、レコーディングやライブをやるときになったらまた東京に帰る」と約束して別れた。
 ほどなくしてForcus作成時、黒沢さんからホリさんへ、この「Grow」のデモ音源が送られた。このデモ音源の存在は木下さんも当時は知らなかった。
 その音源を聴いたホリさんは思わず目頭が熱くなり、それから黒沢さんの家に泊まり込んで一緒にレコーディングをし、焼き鳥屋で飲み、常に音楽の話をして笑いあった。そして、Forcusライブツアーにも同行した。
 
 近年、黒沢さんの体調が優れなくなった時にも「また焼き鳥屋に行こう」という話をしていた。しかし、その数ヶ月後、ホリさんは一人で焼き鳥屋に行く。グラスは2つ用意して。
 
 むかしのL⇔Rのスタッフの方いわく、「Growはホリちゃんにむけた曲じゃないか?」とのこと。ホリさんがデモ音源を聴いて感動したのは、メロディよりもその歌詞なんだろう、きっと。
 
 黒沢さんともお別れとなったが、それは何かのはじまりでもある。当初この曲の仮タイトルは「Forcus」だったが、そんな想いもこめて「Grow」と名付けられた。
 
 
 
Northtown christmas
 
 時間にして1-2分。黒沢さんが高校生の時のピアノ弾き語りの録音。その古い音源の状態から、This Songよりもより耳をたてて聞く姿勢となりました。
 言われなければ黒沢さんの声とはわかりませんでしたが、英詞でNorthtown chrismasを歌っていました。音源の最後はピアノから身を離すときの「カチャッ」という音もあり、黒沢さんとそのピアノがあるその30年以上前の空間を一瞬想像しました。
 
 時間にしてすごく短く、音質もよくはなかったこともあり、どんな音や歌の特徴だったかという細かい記憶はほとんどありません。ただ、今今も残っている印象としては、イベントが終わろうとしてた時に披露されたこと・そして高校生当時の古い音源ということもあり、お別れの、そう、ちょうど「Hear Me Now」の「19 Aug. 1987」を初めてきいた時とほぼ同じような感覚に陥っていたことを覚えています。
 
 
 
 
 
ご覧いただきまして、ありがとうございました。